「ん、んん……っ。ん、ふぅ――っ!」
 こじ開け、何もかも奪い尽くすキス。まるで呼吸さえ許さないと言いたげに、劉鳳はカズマの唇をむさぼった。わずかに開いた隙間から深く舌を差し入れ、熱い口中を思うさま蹂躙する。怯えて縮こまろうとする桃色の舌を吸い上げ、絡め取り、同じことをしてみろと命じる。
 甘い舌。甘い唾液、甘い唇。劉鳳はその接吻に酔った。
「い、いやだ……。もう、やだ……っ、やめて……」
 息苦しさに耐えきれず、カズマは顔をそむけた。息苦しさを切れ切れの言葉で訴える。
 だが劉鳳はそれに答えようともしなかった。
 ふたたびカズマを床の上に押し倒す。その上にのしかかり、何度も何度も唇を重ねる。ほほから耳元、ちょっと尖った顎のライン、首すじへとぬめる舌をすべらせていく。
「あ……っ。く、ふぅ……っ」
 掠れた声がこぼれる。カズマは小さな子供がいやいやをするように首をふり、すすり泣く。
 小さな乳房を手の中に包み込むと、カズマの身体が小さくびくっと痙攣した。
 まだ蒼く硬いふくらみを乱暴にもみしだく。白い肌には、さきほど力任せに握りしめた指の痕が、うっすらと青く内出血になって残っている。
 先端の小さな突起に唇を寄せ、吸い上げる。甘く噛む。劉鳳が舌先でなぶると、それはさらに硬く勃ちあがり、熟した木の実のように紅く染まった。
「あっ、あ、は……っ!」
 カズマがあごをのけぞらせ、かすれた声をあげた。明確に、快楽のあえぎだった。
「ここが好きか?」
 両の乳首をそれぞれ人差し指で押しつぶすように転がしながら、劉鳳はカズマの耳元でささやいた。
 うわずってかすれるその声に、カズマは逆らうように顔を背ける。涙に汚れたそのほほが、濃い桜色に紅潮している。
「好きなんだろう、こうされるのが。ここを苛められるのが、悦いんだろう!?」
 劉鳳はさらに強く爪をたてる。それだけでは飽きたらず、桜色の突起を再び唇(くち)に含んだ。強く噛んだ。
「ひああああ――っ!!」
 カズマは背中を弓なりに反らせ、高い悲鳴をあげた。
 青白い乳房にめちゃくちゃに歯をたてる。舐めあげ、強く吸って紅く鬱血させる。歯の形に血がにじむほど強く噛む。
「やっ、やめて、やめて――いやああああっ! い、いた、ああ、あ……あーっ!!」
 カズマが泣きじゃくり、必死に痛みを訴える。けれどその声は、劉鳳にはさらなる行為をねだっているようにしか聞こえなかった。もっと非道く、もっと容赦なく自分をはずかしめてくれと。その証拠にカズマの全身は次第に紅潮し、甘い薫りがますます強くなってくる。
 そして劉鳳は、そのとおりにしてやることにした。
 劉鳳の手が、カズマの膝にかかった。劉鳳の腰を受け入れるように開いていた脚を、さらに大きく、限界近くまで開かせる。そしてさらけだされた秘花に、劉鳳は迷うことなく唇を押し当てた。
「あ――や、あ……いやあああっ!!」
 濡れた花園を、劉鳳の接吻が容赦なく犯していく。過敏な花びらを指先でかき分け、時に爪をたてていたぶる。その奥にある小さな泉の入り口に長い指がすべり込む。1本、2本、硬く強い指が根元まで突き入れられ、潤んだ泉をかき乱す。
 カズマの身体の奥底から、さらに甘く濃密な雫がしたたり落ちる。狭い独房に、淫らな水音がこだました。
「ふ、くぅ……いや、あ――ああっ! そこ……そこ、だめ……っ!」
 カズマがすすり泣く。劉鳳の顔を押しのけようと黒髪に指を埋める。けれどその手にはまったく力が入っていない。逆に劉鳳の愛撫をそこにとどめようとするばかりだ。細い腰が浮き上がる。大きく開かされた脚が小刻みにふるえ、爪先が反り返る。
「だめだって、どこがだ。ここか?」
 劉鳳は底意地悪く、笑った。
 そして、探り当てた小さな快楽の真珠に爪をたてる。唇を寄せ、無慈悲に歯を立てる。
「あっ!! あ、か、噛んじゃだめえええっ!!」
 泣き叫び、カズマは細い身体を弓なりにのけぞらせた。小さな絶頂の波がカズマの全身を駆け抜けていく。
「い、痛い……っ。痛い、それ……あ、や……っ。ああっ、いやああ……っ!」
「お前にはそれが悦いんだろう? そら――そら、ここをこうして……苛められるのが悦いんだろうっ!!」
 劉鳳は濡れそぼる秘花に二本の指を突き立てた。やわらかなひだを、武道で鍛えた硬い指の関節でぐりぐりと押し広げる。過敏な肉に内側から爪を立て、突き入れる指をさらに増やす。根元まで埋め込み、引き抜き、また鋭く突き立てる。
「あああっ! あっ、いや、あ……ああああっ!!」
「達くんだろう!? そら、達ってみせろ、淫売がッ!!」
「いや、あ、いく……っ! いっちゃ……あっ、あ――あああ……んッ!!」
 劉鳳の指をくわえ込み、カズマが絶頂に登りつめる。
 のけぞり、硬直する細い身体を、劉鳳は無理やり押さえつけた。もう、堪えきれなかった。がくがくとふるえる腰を持ち上げ、濡れた花園に自分自身を突き立てる。
「いやああああ――ッ!!」
 快楽の頂点で、さらに違う刺激を無理やり身体の中に埋め込まれる。カズマは泣き叫んだ。
「んああっ! あっ、はうっ! ああっ! やっ、くあぁっ!!」
 短く高い悲鳴が続く。劉鳳が突き上げるたびに、カズマがかすれた声をあげる。
 指よりもはるかに熱く猛々しいものが、まだ絶頂の痙攣も止まない過敏な花びらを容赦なく突き上げる。デリケートな肉を巻き込むように奥へ奥へと突き進み、また引き戻す。何度も何度もカズマの最奥に突き当たる。そのたびに、カズマの全身に真っ白な閃光が走った。
「だ、だめっ! あっ、あ、つ、強い……っ! こ、こんな――強すぎ……っ」
 カズマは無意識のうちに、劉鳳の背中に手を回し、すがりついていた。律動する広い背中を抱きしめ、たくましい腰に脚を絡める。自分から腰を浮かし、淫らなリズムを刻む。より深く劉鳳を受け入れるために。
「お、おねが……っ! もう、あ……もぉっ! あ……んああっ!」
「――劉鳳だ」
 涙に濡れたほほにくちづけ、劉鳳はささやいた。
「劉鳳だ。言ってみろ」
「り……りぅ、ほ――」
 快楽と苦痛で麻痺した唇で、カズマがその名前を繰り返す。
 もうほとんど意識はないだろう。耳元でささやかれた単語が人の名前だということすら、カズマは認識していないかもしれない。
 それでも劉鳳は、その声に陶酔した。濡れた紅い唇が繰り返し自分を呼ぶのが、涙にけぶった金色の瞳が自分の姿を映すのが、たまらない快楽だった。
「そうだ。劉鳳だ。もっと言え。俺を呼んでみろ」
「りうほう……っ! りうほう、りう……っ!!」
 劉鳳の名を繰り返しながら、カズマが絶頂へ駆け上がる。もう何度目のエクスタシーか、数えられない。
 劉鳳がさらに責める。カズマの中に自分を打ち付ける。
 カズマの身体がそれに応えて、蜜をこぼし、花開く。
「いいっ! いいの、こ、こんな……っ! どうして、こんな……い――ああ、悦いいっ! いいいぃっ!!」
 立て続けに絶頂の悦びが全身を駆け抜ける。昇りつめた感覚のまま、下ることがない。しかもその頂点がどんどん高くなっていく。どこまで昇りつめるのか、果てすら見えない。
 もう、互いの身体の境目すらわからない。互いの呼吸、互いの鼓動、体温、すべてが重なり合い、共鳴する。二つの身体が完全に溶け合い、一つの鋭敏な感覚の塊になってしまったかのようだ。
 カズマは泣きじゃくる。
「い、いいっ! は、初めて……っ。いいのっ! こんな――こんなの初めてぇ……っ!!」
「ああ、俺もだ――っ! 俺も……!!」
 うわずり、掠れた声で劉鳳が応える。
 もう何度もカズマの中に放っている。けれどたぎる欲望が収まらない。より強く激しく募っていく。
 唇を重ねる。呼吸すら奪い尽くすように激しく、深く。互いの舌が絡まり合い、ほどけ、また求め合う。
 上も下も、身体中すべてが交わっている。細胞のひとつひとつまでが、互いの反応をすべて感じ取り、さらに強く大きく反響させているようだ。
 響き合う。快楽も苦痛も、すべての感覚を共有し合い、そしてひとつになっていく。
 二人の身体から淡いオーロラ光が放たれた。それはアルター能力が発動する時の光だ。だが能力発動に伴う既存物質の破壊、消滅は何一つ起こらない。ただきらめく光だけが生まれ、二人を包み込んでいる。
 もう何も見えない。何も聞こえない。
 分かるのはただ、互いの肌で感じ取るこの感覚だけ。
 今まで想像したこともなかった頂点へ、一気に昇りつめていく。けして離れることなく、生まれ時から一つの命だったかのように。
「りうほう……っ! りうほう、りう……りうほぉッ!!」
「達く、俺も――!!」
「あああぁ……っ、あ、あー……っ!!」
 そして、最後の灼熱が二人の身体を貫いていった。









 身体中の空気を全部吐き出すように、劉鳳はひとつ大きく吐息をついた。
 見下ろせば、カズマは硬いコンクリートの床に横たわり、身動き一つしない。完全に気絶している。小さな胸のふくらみが規則正しくかすかに上下していなければ、そして身体中に惨い愛撫の痕が記されていなければ、まるできれいな等身大の人形のように見えるかもしれない。
 床から抱き上げても、何の反応もしない。ぐったりと劉鳳の腕にもたれかかってくる。すべて劉鳳のなすがままだ。その従順さが、劉鳳は気に入った。
 抱き上げた身体は驚くほど軽い。その身を堅いベッドに横たえ、粗末な毛布でくるんでやる。
 それから劉鳳は、床に脱ぎ捨てた「HOLY」の隊服を拾い上げた。
 アンダーウェアに袖を通そうとして、ふと気づく。
 カズマの衣類も床に散らばっている。フェイクレザーの上下はまだどうにか衣服の役割を果たせそうだが、その下に来ていたタンクトップなどは、劉鳳に引き裂かれて、すでにただのぼろ布だ。
 劉鳳は手に持っていた自分のアンダーウェアを、毛布にくるまれたカズマの上に放り投げた。男物だが、ないよりはましだろう。
 火照りの残る素肌に直接、隊服を重ねて、劉鳳は狭い独房のドアを開けた。
 廊下に出ると、自分の身分証カードを使ってしっかりとドアにロックをかける。
 そして暗く小さな部屋の中には、何の物音もしなくなった。





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